便秘
症状
便秘の症状は人によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
排便の頻度が少ない:通常よりも排便が少なくなる、もしくは数日に一回程度しか排便がない。
排便が困難:排便時に非常に時間がかかる、または力を入れないと出ない感じがある。
便が硬い:便が硬くて塊状であり、排便が痛みを伴うことがある。
腹部の膨満感や痛み:便が溜まっている感覚があり、腹部が張ったり、痛みを感じることがある。
残便感:排便後にもまだ便が残っている感じがすること。
疑われる病名
便秘はさまざまな疾患や状態が原因で起こるため、その原因を突き止めることが非常に重要です。便秘が起こる原因として、器質性便秘(器質的な病気による便秘)と、症候性便秘(他の病気や状態が原因で起こる便秘)があります。
器質性便秘(腸や臓器の異常が原因)
腸閉塞
腸が詰まって便が通過できなくなる状態。
症状:腹痛、嘔吐、膨満感、排便ができない。
大腸がん
腸内に腫瘍ができ、便が通過しにくくなる。
症状:便秘、血便、体重減少、腹痛など。
大腸ポリープ
大腸にできた良性のポリープが腸管を部分的に塞ぐことがある。
症状:便秘、血便、腹痛など。
大腸憩室症
大腸壁に小さな袋(憩室)ができ、便がその中に溜まることがある。
症状:便秘、腹部膨満感、下腹部の痛み。
潰瘍性大腸炎
大腸の内壁が炎症を起こし、便通に影響を与える疾患。
症状:便秘、血便、腹痛、下痢などが交互に現れることも。
クローン病
大腸を含む消化管のどの部分にも炎症を引き起こす疾患。
症状:便秘、腹痛、体重減少、血便、発熱など。
骨盤臓器脱(女性)
骨盤内の臓器(膀胱、子宮、直腸など)が下垂し、腸管を圧迫して便通に影響を与える。
症状:便秘、排便時の痛み、残便感、腹部膨満感。
症候性便秘(他の疾患が原因)
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足し、代謝が低下するため腸の動きが遅くなる。
症状:便秘、倦怠感、体重増加、乾燥肌、冷え症など。
副甲状腺機能亢進症
血中カルシウム濃度が高くなると、腸の動きが鈍くなる。
症状:便秘、疲労感、骨痛、多尿、食欲不振。
低カリウム血症 / 高カリウム血症
カリウム濃度の異常が腸の運動に影響を与える。
症状:便秘、筋力低下、疲労感、心臓の不整脈など。
糖尿病神経症
高血糖が神経にダメージを与え、腸の動きが鈍くなる。
症状:便秘、腹部膨満感、消化不良。
うつ病
精神的なストレスや抑うつ状態が腸の動きに影響を与えることがある。
症状:便秘、食欲不振、体重減少、倦怠感。
摂食障害
食事の摂取不足や乱れが腸の運動に悪影響を与える。
症状:便秘、過食・拒食、体重の急激な変動。
子宮筋腫(女性)
子宮内に良性の筋腫ができ、腸を圧迫して便秘を引き起こすことがある。
症状:便秘、腹部膨満感、月経異常。
その他の便秘の原因
痔
便秘によって硬い便が排便される際に肛門周辺に傷ができ、排便時に痛みを伴う。
症状:便秘、排便時の痛み、血便、裂肛(肛門裂傷)。
過敏性腸症候群(IBS)
腸の過敏状態により、便秘型、下痢型、または混合型が発症。
症状:腹痛、腹部膨満感、便秘または下痢が交互に現れる。
直腸性便秘
痔や裂肛、排便を我慢することが原因で直腸の感覚が鈍くなり、便秘を引き起こす。
症状:便秘、排便時の痛み、残便感。
検査と治療方法
便秘の原因を突き止め、適切な治療を行うためには、まず検査を受けて原因を特定することが重要です。
便秘の検査方法
便秘の原因が生活習慣や食事によるものなのか、他の病気や異常が原因なのかを明らかにするために、さまざまな検査が行われることがあります。
血液検査
目的:内分泌や代謝異常が便秘の原因である場合を確認するために行います。
便潜血検査
目的:便に血が混じっていないかを確認し、大腸がんやポリープ、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)などの存在を調べます。
腹部超音波検査(エコー)
目的:腹部の臓器(肝臓、腎臓、大腸、膀胱)を観察し、異常がないかを調べます。腸の腫れや、腸閉塞などが疑われる場合に行います。
内視鏡検査(大腸カメラ)
目的:大腸内を直接観察して、腫瘍、ポリープ、炎症、潰瘍などの病変を確認します。血便や便秘が長期間続く場合、大腸がんや大腸ポリープの有無を調べるために行われます。
X線検査(バリウム検査)
目的:消化管の形態を調べ、腸の狭窄や腸閉塞、大腸の異常(例えば、大腸憩室症など)を確認します。
大腸機能検査
目的:腸の運動機能が正常かどうかを評価する検査です。便秘の原因が腸の動きに関する問題(例:機能性便秘)である場合に行います。
直腸の検査(直腸内視鏡、肛門鏡)
目的:直腸や肛門の状態を確認し、痔、裂肛、直腸脱、肛門括約筋の機能障害などを診断します。
便秘の治療方法
便秘の治療は、その原因によって異なりますが、まずは原因に応じた治療を行うことが基本です。治療には、生活習慣の改善から薬物療法、場合によっては外科的治療が含まれます。
生活習慣の改善
食事の改善
食物繊維の摂取:野菜、果物、全粒穀物、豆類などを積極的に食べる。
水分摂取:水分を十分に取る(1日1.5~2リットル)。
規則正しい食生活:食事をきちんと摂ることで腸の動きを活発にする。
運動習慣
軽い運動やウォーキング:腸の動きが活発になるため、便秘の予防に効果的です。
排便習慣の改善
便意を感じたらすぐに排便する:排便を我慢すると便が硬くなり、便秘が悪化することがあります。
毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける。
薬物療法
便秘の種類や原因によって、適切な薬を使用します。
緩下剤
刺激性下剤:腸の動きを促進する。。
膨張性下剤:水分を吸収して便を柔らかくする。
浸透圧性下剤:腸内に水分を引き込む。
軟便剤
便を柔らかくして排便をしやすくする薬です。
- 便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)
- 腸の運動を調整する薬
- 生物学的治療(炎症性腸疾患)
潰瘍性大腸炎やクローン病が原因の場合、免疫抑制剤や生物学的製剤(TNF-α阻害薬など)を使用して炎症を抑え、便秘の改善を目指します。
外科的治療
大腸がんや大腸閉塞などの器質的な原因がある場合、手術で腸を修復したり、腫瘍を取り除くことが必要になります。
骨盤臓器脱や直腸脱の場合、手術で臓器を元の位置に戻す手術を行うことがあります。
心理的アプローチ
精神的な要因(うつ病、ストレスなど)が原因の場合、カウンセリングや抗うつ薬が有効となることがあります。
便秘の原因はさまざまであり、器質的な病気から機能性の問題、精神的な要因まで多岐にわたります。便秘が続く場合や症状が悪化する場合、早期に検査を受けて適切な治療を行うことが重要です。自分で解決しようとする前に、専門医に相談して正しい原因を突き止め、根本的な治療を行うことが大切です。何かご不安な点がございましたら、西武池袋線「東久留米駅」徒歩2分にございます当院にてぜひご相談ください。